「海外のどこかの街で、入れ歯で困っている人を見つけてきてよ。」
はじめまして、こんにちは。大学4年生のハルカ(偽名)です。
春からは都内の某入れ歯屋への就職を予定しています。
私は現在、就職予定先にて週に一度アルバイトとして働いています。通常、勤務中は入れ歯について調べたり、海外の入れ歯事情を調べたり…。時には社外ミーティングに参加することもあり、会社のこと、仕事のあれこれに直接触れる機会をもらっています。このことを周りの友人に話すと、よく羨ましがられるものです。
そもそも、「入れ歯屋ってなんだ?」と感じる方もいるかと思うので、少し説明を加えると、私の就職予定先では、「入れ歯をアタリマエに」の実現に向け、独自の技術で柔らかい入れ歯の提供や入れ歯関連商品の販売等を行っています。
そんなある日、社長の口からこぼれたのは、
「海外のどこかの街で、入れ歯で困っている人を見つけてきてよ。」
なんともざっくりとした言葉。冗談かと思い聞き進めると、
「じゃあ、タイの街頭で入れ歯の人を探し出す感じで。」
とのこと。どうやら本気で言っているらしい。
一方で内定者ハルカは、
「ん?」
タイで入れ歯?タイタイ?なにゆえ?そもそもまだ入れ歯のこともよく知らないし、ましてやタイ?タイ語?内定者ってそんなことを任されるポジションの者なのか?入社すらしてもいないただの学生にもかかわらず。もう、わけがわからないよ!
そう考えつつ口走ったのは、
「はい、やります。」
何をするのかさえ10割程度理解できていない状況ではありましたが、「タイへ行けるのかも」という下心と、「なんかよくわからないけれど、逆に楽しいかもしれない」との考えから、思わず引き受けることに。
蓋を開けてみると、どうやら
「海外で入れ歯の人を探し出し、コンフォートにしてもらう」
という計画を、内定者の私が、具体的な計画立案から広報まで全てやってみる、といったものでした。ちなみにコンフォートとは、私の就職予定先の提供する、硬い入れ歯の裏面を「生体用シリコーン」というやわらかい素材でコーティングした入れ歯(冒頭で述べた「柔らかい入れ歯」)を指しています。
そんなコンフォートのタイ進出に駆り出されたのは、まさかの内定者ハルカでした。
勢いに任せただけのような企画、その勢いにただ赴くがままに乗ってしまったハルカの今後の行方やいかに!?
<つづく>