「あのとき」タイにいた入れ歯屋ハルカのブログ

2016年11月某日、都内。内定先である入れ歯屋でアルバイトとして勤務していたハルカは、社長室へと呼び出された。そこで社長から告げられた言葉を機にハルカの入れ歯屋ライフが本格始動。入れ歯との出会い、社長から課されるミッション、初めての社会人経験…そんなハルカの日々を綴ります。

新入社員は、35億。

ハルカです。

以前、休日の地下鉄にてハイスペさんとも遭遇したことがあります。普段の勤務地付近であったこともあり、残念ながら、新宿で入れ歯屋の技工士さんに会った時ほどの驚きはありませんでした。

そのときは、私が下車しようと立ち上がったタイミングでハイスペさんを見つけたのですが、ハイスペさん自身はそれ以前から気付いていた模様。思わず口にしてしまったのは

「気付いていたなら声掛けてくださいよ!」

 

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早いもので、入れ歯屋に就職して間もなく2カ月が経とうとしています。1か月前も同じように「早いもので1か月が…」と言っていた気がしますが、こうして月日は流れていくのだなとしみじみ。

先日、会社へと向かう電車内にて、珍しく大きな話し声が聞こえてきました。会話の内容や容姿から見ても、どうやら新入社員のよう。

 

「10月に入ったらOJT始まるんだよね~憂鬱。」

 

正直なところ、「何しに会社入ったんだ?」と心の中で思うと同時に、「じゃあ10月まで何やるんだろう?」とも考えながらそのまま出社したハルカ。

丁度その日は入れ歯屋への来客がありました。海外事業部も大いに関連のある内容であったため、同席をすることに。その際、「うちの会社は新入社員はまだしばらく研修期間だよ」と。

 

ここへきてやっと、

 

あれ、うちの会社が変なのか?

 

と気付きました。

もちろん、自分の研修期間は終わったと言えど、まだまだわからないことも多く、実習期間のようなそうでないような仕事の進め方をしています。

名刺交換は予想以上に緊張しっぱなしだし、下りのエスカレーターも先輩社員より前に出て乗ることができないことばかり。その他にも、メールや送り状の書き方等、ひたすらGoogleさんに頼ることが多々あります。

 

しかしながら、既にゴールデンウィークを挟んだこともあり、実質の勤務日数はさほど多くはないものの、タイへ行ったり、入れ歯のことについて学んだり、100km歩いてみたり…。他に似たようなことを経験した新入社員には未だ会ったことはありません。いざ冷静になってみると、入れ歯屋の業務って割りかし激しめなのでしょうか?と。

 

 

そして、同じように感じている者がもう一人。ハルカと共に入れ歯屋へ入社した歯科技工士のポニーさんです。いつも後ろで髪を一つにまとめているポニーさん。髪飾りが毎日変わるのが特徴です。動物に例えるなら、カワウソのような。

 

ポニーさんは、ハルカと時を同じくして入れ歯屋へとやってきました。

現在、柔らかい入れ歯・コンフォートの加工現場にて、その技術を習得すべく日々ラボにて修業中。私にとって唯一の同期ということもあり、何か奇想天外な業務を託されているのでは!?と思いインタビューを試みたところ、

 

「今日も元気にレジン削ってます!」

 

との返答しか受けることができませんでした。

 

まずは充分な信頼関係を築くところから始めます。

ポニーさんの今後の活躍に期待して。

 

<つづく>

位置について、よーい…

ハルカです。

先週末、「暇だから」という理由で友人とランチへ行きました。

そのまま母からのお使いを果たすべく新大久保へ初上陸。田舎者らしく写真も撮りました。そして再び、「暇だし」という理由で新宿を散歩していたところ、うしろから声をかけられるハルカと友人A。

ティッシュかな?と思い振り返ると、そこに立っていたのはなんと入れ歯屋の技工士さん。あれほどの雑踏の中でよくぞ遭遇したなと、未だに驚くばかりです。

 

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そんなハルカは、タイへの二度目の出張を終えた後、アルバイトではなく一社員としてタイでのコンフォート事業に携わっています。前回の出張時、コンフォート入れ歯にしたおばあちゃんたちの喜ぶ姿を見ることができ、今もうれしい気持ちでいっぱいでした。

 

そんな中、先週あたりに社長から

 

「タイのことは中心で進めていってね」

 

と告げられ、あっさり引き受けていたのですが、一週間ほど経過したここ数日。今さらながらに気付きました。

 

あ、これ割と大変なやつだ!

 

と。

まず何から始めればいいのかわからない。かろうじて、社長から「コンフォートをタイでいつでも開始できるように調えておいて」と指示を受けたので、早速取りかかります。

 

今後はタイ国内へコンフォートを広めていくことに注力するわけですが、それを実現するためには、タイについてあれやこれやと調べることも要されます。輸入・販売規制や輸送手段はもちろんのこと、医療機器、医薬品に化粧品のこと。そもそもタイでは入れ歯は医療機器なのか?等など。

Googleさんに聞いてみるだけでは明らかにならない点も多く、調べることも一苦労。しかし、本当に大変なのはその後だったのです。

 

 

 

そもそも、柔らかい入れ歯・コンフォートは、製品の特性上、毎日の洗浄が必要とされており、コンフォート入れ歯は「clene」という入れ歯洗浄剤を使うことが必須となっています。

当然、タイでコンフォートを使ってもらう患者さんにもこのcleneで洗ってもらわなければなりません。

 

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そして、このcleneをタイへ持ち込むことに関し、

 

そういえば、入れ歯洗浄剤ってタイではどう扱われているんだろう?

 

という疑問が浮上しました。

日本においては入れ歯洗浄剤は「雑貨」とみなされているものの、海外では「医療機器」と分類されることもあるそう。念のためポン先生へ確認してみると、医療機器との回答が。

 

 

数か月前までの自分であれば、「だから何?」と感じていたかもしれませんが、そうはいかず。

というのも、タイで医療機器の輸入・販売を行う場合、公的な文書をいろいろ集めてタイで許可をもらわなければなりません。にもかかわらず、日本において入れ歯洗浄剤は医療機器ではなく、タイから求められている文書を集めるのは不可能に等しいとのこと。

すなわち、コンフォート入れ歯を使うには必須の洗浄剤cleneが、このままではタイへ向かえない!という悲劇に見舞われたのです。

 

 

タイ現地での入れ歯セットを終え、一段落したかと思いきや、スタート地点にさえ立つことができていない現状を身を以て知った今日この頃。

 

もやもやが止まりません。

 

もやもやモヤもや…

 

<つづく>

日常小話

ハルカです。

ゴールデンウィーク明けの初勤務日は、健康診断から始まりました。

採血が苦手なこともあり、横に寝転んで採ってもらう派です。先日も、変わらず横になると、看護師さんが、

 

「針が細いので少し時間かかりますけど」

 

と。

針が細いということは痛みが少ないのでは?と期待したものの、結局普段と同じように異物感や痛みを感じます。いつもより少し長い時間で採られ続け、憂き目を見る結果となりました。

 

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ところで、以前ハルカは生産管理や営業といった他部署でのお手伝いをしていましたが、実は、入れ歯屋の職場には、オフィスと技工所が併設されています。だからこそ歯科技工士の方から歯科・入れ歯に関する専門的なことを教わったり、試しに入れ歯の加工を行ってみたりと、パソコンの前に座っているだけでは経験できないことも多くあります。

一方オフィスに関しては、自分の作業スペースが長机の一部として提供され、デスクとデスクの間の仕切りもほぼ無いに等しいオープンな配置。それゆえに、普段仕事をしていると、他の部署でのやり取りや仕事ぶり、不意に起きた出来事が当たり前のように聞こえてくるのです。

たとえば、

 

中国のお役人さんから巻物をもらったけど、どうしよう。

 

とか。

 

そんなある日。

社内で、「ハルカの出身地域の医院さんからコンフォート加工の依頼が来ている」と耳にしました。患者名を見てみると、

 

うちのばあちゃんだ!

 

ハルカのばあちゃんは10年ほど前から上下顎ともに総義歯を使っており、以前からいつも「入れ歯が合わない、痛い痛い」とこぼしていました。

 

そして私が入れ歯屋への就職を決め、アルバイトとして働きに来ていた頃のこと。せっかくなのでと思い、ばあちゃんへコンフォートを紹介してみたのです。

その結果、ばあちゃんはコンフォートに興味を持ち、新義歯の作製からスタート。そして、新義歯にも慣れ始めたころに再び医院へかかり、コンフォートの加工を行うための治療を開始しました。最終的なコンフォートの加工は、我々入れ歯屋の技工所にて行われるため、こちらに届いたという訳です。

 

加工が完了したばあちゃんの入れ歯は、ちょうど本日発送予定とのこと。

タイでコンフォート入れ歯をセットした時のように、私のばあちゃんも、おいしく楽しく食べてもらえることができるといいなと思います。

 

果たして、ハルカのばあちゃんの行く末やいかに。

 

<つづく>